これから熱くなってくる時期のキャンプやアウトドア活動で気を付けたいのが熱中症です。
総務省消防庁報告データによると、全国で6月から9月の期間に熱中症で救急搬送された人は2018年では92,710人、次いで2019年66,869人、2021年が46,251人と近年多い数字を記録しています。
去年は各種音楽フェスや野外イベントが中止している影響で少ないかもしれませんが、それでも5万人近くの人が熱中症になり救急車で運ばれています。
この記事では普段看護師として働く私が、仕事での経験や環境庁の熱中症対策マニュアルを踏まえながら皆さんに安心安全なキャンプができるような情報をお伝えしていきます(*^^)v
なお、この記事の対策を実施しているから大丈夫!という事ではなく、少しでもおかしいなと感じたら速やかに医療機関を受診するようにしてくださいね。
熱中症とは?
そもそも、熱中症とか熱射病とか日射病とか色々言い方がありますが違いを知っていますか?
熱中症とは高温の環境下長時間いたときやいた後の体調不良を総称したものです。
熱射病は熱中症の中の分類の1つになります。
そして、直射日光を浴びることによって起こった熱射病を日射病といいます。
死に至る可能性もある病態ですので、予防法や適切な処置方法を把握しておく必要があります。
熱中症の重症度の分類と症状について
次に、熱中症の分類と重症度・症状について表でまとめます。
分類 | Ⅰ度 熱けいれん・熱失神 | Ⅱ度 熱疲労 | Ⅲ度 熱射病 |
重症度 | 軽度 | 中等度 | 重度 |
症状 | 手足がしびれる 大量の発汗 めまい、立ちくらみ 筋肉がつる 気分が悪い ぼーっとする あくびがでる | 頭痛 吐き気、吐く 身体がだるい 集中力や判断力の低下 | 意識がない 身体がけいれんを起こす 呼びかけに対して返事がおかしい まっすぐに歩けない・走れない 身体が熱い 発汗が止まる |
体温 | 正常または軽度上昇 | 平熱以上~41℃ | 41℃以上 |
熱中症の中で一番重症度の高いもの(Ⅲ度)を熱射病といいます。
Ⅰ度の熱けいれんと熱失神とは(軽度熱中症)
熱けいれんとは、高温環境下での多量発汗によって、体の中のミネラル成分等のバランスが崩れてしまった状態です(主に体の中のナトリウムが足りなくなる)。
腕や足の筋肉がけいれんしたり手足がつったりします。
熱失神とは、高温環境に長時間いたことで血管が広がって血圧が下がり脳への血流が減ることで、めまいや顔色が悪くなり、気分が悪くなったり立ちくらみを起こすような状態をいいます。
Ⅰ度ではあとで記載する応急処置にて症状改善する場合は、現場での対応のみで大丈夫ですが改善が見られない場合は医療機関の受診を行う必要があります。
Ⅱ度の熱疲労とは(中等度熱中症)
熱疲労とは、体温上昇による大量の発汗によって体が脱水症状を起こし体の中を循環する血液が少なくなった状態です。
脈拍が増えたり血圧低下が起こり吐き気などを起こした状態のことです。
Ⅱ度の症状が出た場合は症状の改善が見られない場合速やかに医療機関の受診を行う必要があります。
Ⅲ度熱射病とは(重度熱中症)
著しい高体温により体の中の神経が正常に働かなくなったり、肝臓や腎機能障害をきたした状態のことです。
意識に異常がみられ、反応が悪くなったり、言動がおかしかったり、意識がなくなったりした状態を言います。
脳の体温調節機能も正常に働くなってしまうため、体は熱いのに汗は全くかいておらず身体は乾燥しています。
とても危険な状態であるため急いで救急要請し医療機関を受診し治療を受ける必要があります。
熱中症になるリスクが高まる3要因(人・環境・行動)
ここでは、熱中症のリスクが高い人や環境・行動の3要因ついてまとめます。
特にファミリーキャンパーさんには子供の熱中症に注意が必要です。
子供は大人に比べて体温調節機能が未発達なので暑さへの耐性が未熟です。
体も小さいため体表面面積が少ない分、熱を放散する能力も低く体の中に熱がこもりやすく体温が上昇しやすくなっています。
また、背が低いため地面からの照り返しの影響を強く受けます。大人が暑いなと感じている時は子供はもっと暑い環境下にいるので注意です。
そして、子供は自分の体調変化をうまく感じ取れなかったり訴えたりできない事がありますので保護者がしっかりと注意して気に掛けてくださいね!
これらの環境下では、体の中の熱放散がうまくできずに熱中症を発生しやすくなると言われています。
特に湿度が高い日は汗がうまく蒸発できずに体の熱が放散されないので熱中症リスクが高まります。
梅雨明けで急に暑くなる7月は体も暑さに慣れておらず湿度も高いため、熱中症のリスクが高いため特に注意してくださいね!
これら人・環境・行動の3要因が複雑に関係し、熱中症を引き起こすリスクを高めます。
熱中症かなと思った時の対処法
熱中症かな?と思った時は①~③の順に状態を判断をしていきます。
まずは意識の確認。呼びかけに反応はあるか?
熱中症かなと思う症状があったら、まず意識の確認をします。
反応が悪く、ぐったりしている場合はすぐに救急車を呼んでくださいね。
意識がある場合や救急車を待っている間は日の当たらない涼しい場所へ移動し、服をゆるめて体を冷やしてください。
保冷剤があれば首やわきの下、太ももの付け根の前面(そけい部)などを集中的に冷やしてください。
その部分には体表近くに太い静脈が通っているので体を冷やすのに効率がいいためです。
保冷剤がなければ自販機で買った冷えたペットボトルや氷をタオルでくるんで上記の部位に当てるのも効果があります。
濡れたタオルを体に当てて、扇風機やうちわなどで風を当てて水を蒸発させることで身体を冷やす方法もあります。
熱さまシートは熱中症の治療にはあまり効果がありませんので注意してください。
水分を自力で摂取できそうか?
意識があることを確認したら水分を自力で摂取できるかどうかを確認します。
水を飲めそうである場合は水分と塩分を補給してください。経口補水液と呼ばれるものが一番いいですが、ポカリスエットやアクエリアスも効果的です。
また、水分を摂るときに冷やした水分を飲むことは体内から体を冷やすとともに水分補給にもなるので一石二鳥です。
吐き気があり飲めなさそうな状態である場合は速やかに医療機関を受診してくださいね。
炎天下での野外活動では念のために経口補水液を用意しておくと安心ですね!
水分摂取後症状は改善したか?
水分や塩分を摂取し休んでいるうちに症状が改善すれば、そのまま日陰で安静にして十分に休息をとってください。
体調が回復したら無理をせずその日の活動を中止し帰宅しましょう。
もしその後も体調が優れない場合は医療機関を受診し診察を受けることをおすすめします。
熱中症にならないための予対策5選
ここまでは熱中症についての基礎知識、応急処置や病院受診の目安についてまとめてきました。
次は熱中症にならないための予防策5選をまとめていきます。
こまめな水分補給をする。アルコールは水分摂取にならない!
これは誰もが知ってる予防策ですね!
しかし注意して欲しいのはアルコールは水分摂取にならない、ということです!
アルコールは利尿作用があるため、飲んだ以上に排尿があります。
そのため、アルコールを飲んだとしても体には思ったほどの水分は残ってませんのでアルコールと同程度のお茶(麦茶等)や水、OS-1やスポーツドリンクなどを飲むようにしてください。
OS-1やスポーツドリンクが手元にない場合は1Lの水に1~2gの食塩を入れた水が適当です。
最近はタブレットタイプの塩分補給ができる商品もあるので水分と合わせてこまめに摂取するのもおすすめですよ‼
アルコール同様、カフェインが多いコーヒーや玉露のお茶なども利尿作用が強いため水分摂取という観点においてはあまり適していませんので注意してくださいね!
お茶だと麦茶や梅昆布茶がおススメです♪
通気性や速乾性のある衣類を身につける
衣服を着こんでいると熱が体にこもり熱中症のリスクが上がります。
風通しのよく体を涼しく保つことのできるゆったりとした衣類を身につけましょう。
また、服の色も工夫するといいでしょう。
黒は光を吸収し熱をため込むので、できれば白や黄色など淡い色の服などを選ぶのがおススメです!
日傘をさしたりつばの広い帽子をかぶることも有効です。帽子は時々外して汗の蒸発を促してくださいね。
タープを使う・テント設営は夕方に行うなど工夫を
炎天下でのテント設営は労力を使うので熱中症になるリスクが上がります。
日中の熱い時の設営はタープだけなど必要最低限の設営にして、日が落ちて気温が落ち着いてきたころにテント設営を行うなど工夫すると熱中症になるリスクを下げることが出来ます。
また、区画内やテントやタープに打ち水をするのも水が蒸発する時に一緒に熱も放散してくれて気温が下がるので熱中症予防に効果的です。
私たち夫婦は日よけのためにいつかのタープを使っています。
これ1つ購入するだけでタープポールやロープ、ペグも一式入っているので初心者キャンパーにはとってもおすすめです♪
高原キャンプ場など涼しいキャンプ場を選ぶ
そもそも暑いところに行かない事が熱中症対策になるので夏場は高原にあるキャンプ場に行くことをおススメします!
一般に、標高が100m上がるにつれて気温は0.6℃下がると言われていますので夏場は平地のキャンプ場よりも少し標高の高い場所にあるキャンプ場を選ぶといいでしょう。
私たち夫婦はキャンプ始めて間もないころ、夏場の海沿いキャンプに行って暑すぎて眠れず気分が悪くなって朝5時から撤収作業をして帰ったことがあります。
今思えば、あの時軽い熱中症になってたと思います・・・(汗)
扇風機や便利グッズなどを使い体を冷やす道具を準備する
ここでは暑いキャンプ場で熱中症を予防し涼しく快適に過ごすためのおすすめグッズについて紹介していきます。
扇風機
電源がある区画やポータブル電源を持っている人は家の扇風機を持参するといいでしょう。
そのような準備がない場合はバッテリーで動く扇風機を用意しておくことをおススメします。
フィールドファンは18V、14.4Vのマキタ純正バッテリ(別売り)対応の小型扇風機。AC電源とバッテリの両方で使用できるうえに重量は1.3kgと軽量。最大風速は180m/分というハイパワー。カラーはスノーピークらしい大自然に馴染む色味に仕上げました。また冬場にはサーキュレーターとしても活躍します。
引用:Amazon商品紹介ページ
makitaのバッテリーで動くsnow peakの扇風機は風力、バッテリー持ちともに抜群なのでおススメですよ~何より色味もキャンプ場になじんでとってもかっこいい!
冷却タオル
夏の強い日差しからお肌を守ってくれるので、頭や肩から掛けて身体を冷やしつつ、日焼け防止もできます。また、自宅、アウトドア、室内運動、建築仕事、飲食仕事、トレーニング、ヨガ、登山、公園、釣り、ジョギング、サッカー試合、運動会、スポーツなどにも最適です。
引用:amazon商品紹介ページ
水に濡らすだけで冷たくなるタオルなども近年ではたくさん商品化されています!
タオル自体も冷たくなり、濡れたタオルが気化する際に体の熱も一緒に放散してくれるので熱中症予防にピッタリです。
瞬間保冷剤
クイックフリーズクールレスキューは非常用の冷却パックです。急な発熱やけが・熱中症などの救急として、また災害時などの防災用品としてご使用ください。
●アウトドア・レジャーなどでもご使用いただけます。
●叩けばすぐに冷却が始まります。
●大判サイズで長時間保冷が続きます。(30度の静置で約90分)
●6個入保管用小箱は丈夫で保管に最適。
引用:Amazon商品ページ
叩くだけで冷却が始まる保冷パックもあります。
応急処置に使ったり、寝るときの枕代わりに使うと快適に眠ることが出来そうですね♪
■28℃以下で自然に凍結する爽快リング!
■繰り返し使えるので自然にも経済的にもやさしい
■時間が経っても結露しないので水滴で洋服が濡れる心配がありません!
■首元を冷やして熱中症対策に!
引用:yahooショッピング商品ページ
首に巻くクールリングになります。
この商品は28℃以下で自然凍結し何度でも使うことが出来るのでクーラーボックスに入れておくと何度でも首元を冷やすことができます。
首には太い血管が通っているので冷やすには最適の場所の一つになります!
冷たいタオルを巻く方法では洋服が濡れてしまうのでクールリングを使えばその心配がないのでおススメです。
まとめ
どのような症状が熱中症なのかを知り、早めの対処方法をとることが出来れば重症化を防ぐことが出来ます。
私も一度経験しましたが夏のキャンプは日中もですが夜でも熱中症になるリスクがあるのでしっかりとした対策が必要です。
特にファミリーキャンパーさんは子供さんにこまめな水分補給を促したり体調確認をするなど、注意してみてあげてくださいね!
また、万が一熱中症かなと思った場合は無理をせずキャンプを中断し帰宅することをおススメします。
しっかり対策をしつつ無理せず安全に夏のキャンプを楽しみましょう!
キャンプでよくあるトラブルであるやけど処置についても記事でまとめていますので興味があれば読んでみてくださいね。
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